年末年始 支援の現場から


12月31日(木)
「池袋緊急相談会@東池袋中央公園」

大晦日15時から18時まで、東池袋中央公園で相談会を開催し、東京都が一時宿泊先として確保するビジネスホテルへの宿泊支援と食料配布も行いました。2時半頃から相談と食料配布コーナーに行列ができたため、時間を早めて相談を開始しました。宇都宮健児弁護士、雨宮処凛さん、山本太郎さん、小池晃参議院議員、谷川智行医師らも駆けつけ相談に当たりました。私はパルシステムや自治体議員の皆さんと一緒に食料配布を行いました。15時と16時の2回、パルシステム提供の食パンや菓子パン、差し入れのバナナやふかし芋、医療キット等を配布。約100名の方にお渡ししました。
豊島区が12月31日から1月3日、ビジネスホテルの利用と生活保護申請に対応する体制をとってくれていたので、野宿暮らしを強いられていた宿泊希望者全員が、ホテルの暖かい部屋で大晦日とお正月を過ごすことができました。その後1月4日と5日に支援団体が福祉事務所に同行し、生活相談と支援につなぎました。「傷つき疲れきった相談者が、無事にアパート入居でき、新しい生活をスタートさせるためには、福祉事務所の暖かで丁寧な対応と伴走が必要だ」事務局の瀬戸大作さんの言葉が胸に響きます。


1月1日(金)
「年越し大人食堂@四ツ谷聖イグナチオ教会」

1月1日と3日、正午から18時まで教会の施設をお借りして、お弁当配布と相談会を行いました。30分以上前から50人以上の列ができました。料理研究家の枝元なほみさんを中心に、パルシステムの皆さんやボランテイアのみなさんで、肉味噌、そぼろご飯、酢の物、野菜の煮物などのお弁当と、温かいジャガイモのポタージュ、野菜スープを配布しました。予定は200食でしたが、訪れたすべての人に食べてもらいたいと、合計340食を調理し、配布しました。今回は新型コロナ感染対策のため、室内での飲食はご遠慮頂き、土手の上の穏やかな日差しの中でお弁当を食べて頂きました。

当日私は「生活・労働・医療・女性、相談できます」と書いたプラカードを持って、お弁当を受け取るために並んでいる方に声をかけ、お話を伺い相談窓口に案内する係りでした。相談会は暖かい室内に設け、若い女性、赤ちゃんや幼児をつれた女性、外国籍の方の姿もあり、女性相談があるから足を運んだと言う方もいました。お弁当の列に並んでいる方からは「所持金はほとんど無い」「去年アパートを追い出されてから住むところが無い」「娘に心配かけるわけにいかないから生活保護は受けるわけにはいかない」「生活保護を受けていたけれど、給付が停止になって新宿西口の路上で生活している」「医者に行くお金が無いから相談したい」「役所も福祉事務所も信用できないから相談するつもりはない」など、それぞれ、様々な声を伺いました。相談ブースでは、宇都宮健児弁護士、福島みずほ参議院議員も相談員として参加、ジャーナリストの安田菜津紀さんや望月衣塑子記者、TBSの金平さん他、多くの報道陣の取材もありました。

当日、45件の相談のうち、豊島福祉事務所との連携で4名の方がチャレンジネットのホテルに宿泊することになり、14名の方に生活給付金を支給しました。医療相談も12件ありました。12月31日、1月1日、3日の3日間で、食事の提供は約950食、約150件の相談があったそうです。

自治体議員にできること

相談会を通して、困りごとの入り口の多くが雇用問題であり、生活困窮、住居喪失、家族関係、健康など、問題が複合的で複雑になっていると感じました。多くの方が既に自治体の相談窓口等で相談されていて、そこで支援に結びつかず、「自己責任」だと追い詰められている状況が共通していました。単なる相談だけではなく、支援につなぎ、継続した伴走が必要なのだと改めて思います。私たち地方議員は「コロナ災害自治体議員の会」として相談会に参加し、生活保護申請に同行したり、政府交渉に参加したりしています。今後一層自治体議員が相談を支援につなぎ、伴走をするという役割を担っていくことが重要だと考えます。

年末年始、多くの相談が支援につながりましたが、生活保護への偏見が根強く、支援団体の存在を知らない人が大半です。昨年の12月、厚労省が「生活保護は権利、ためらわずにご相談ください」というメッセージをウエブサイトに掲載し、生活保護の申請を促しました。その動きに民間の支援団体が呼応し、SNSで一斉に生活保護の利用を促すメッセージの投稿を行いました。今急がれるのは、福祉事務所や職員の認識はもちろん、住民1人ひとりの生活保護に対する意識を変えること。そのためには自治体からの積極的な発信が必要だと思います。また、無料定額宿泊所などの劣悪な施設への入居を条件とする自治体ルールや、家族への扶養照会制度の見直しも必要です。

そして、国へ帰りたくても帰れない元留学生や元技能実習生など、働くことが許されず生活保護も受けられない外国籍の方への対策が全く進んでいません。国の制度からこぼれ落ちてしまう人々への対策を急がなければ、多くの命が見捨てられることになってしまいます。私たちの地域に存在する困難から、東京都や国の制度を変えていくために、自治体議員として、支援団体のみなさんと力を合わせて取り組んでいきたいと思っています。