コロナ災害で問われるこの国のあり方 〜新型コロナ災害緊急アクションが東京都・政府要請

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  私たちコロナ対策自治体議員の会は、新型コロナ災害緊急アクションに賛同し立ち上げた会である。全国で約200の自治体議員がネットワークを結んでいる。東京23区、26市、それぞれ1名以上の自治体議員が参加しており、問題を各自治体に繋ぎ、相談や同行支援を行っている。

新型コロナ災害緊急アクションとして、これまでも東京都、政府に対して要請行動をおこなったり、自治体への生活保護・無料低額宿泊所に関するアンケート調査を行ったりしてきました。この度、東京都と政府に対して、新型コロナの影響で年末年始に向けて仕事や住まいを無くしてしまうかもしれない人々への対策を早急に取るよう要請した。要請項目と都及び政府の回答を以下にまとめてみた。

 

◆「居宅保護が大原則 」都庁へ要請

11月26日、都庁要請行動では東京都福祉保健局3名の職員が出席。参加者は13名(以下が要請への回答)

(1)自治体生活保護行政アンケートの回答についての見解

回答)毎年市に対して検査をしている。あくまでも居宅保護が大原則だが、その日にホームレスの方がアパートを見つけるのは難しいので、無底が使われることがあるのは承知している。居宅保護が大原則であり、無料低額宿泊所に入らなければ生活保護利用を認めないのは言語道断、権利の侵害。そういう事実を見つければ指導の対象となる。

(2)福祉事務所における無料定額宿泊所への入所強要と施設契約、住環環境などの実態把握を行う

回答)指導対象になっている無低があるのは事実。お金の取り方が杜撰であるなど改善指導している無低がいくつかある。指導にきちんと応じてくれないところもあり、なぜ言うことを聞かないのかというのが本音だが、取りつぶすことはなかなかできないジレンマがある。

(3)自治体の生活保護担当者の研修の強化

回答)福祉事務所を対象に、ケースワーカー、相談員に対する研修等をしているが、新任や年数が若い方中心。定員に枠があるので、必ずしも全員が受けられるわけではない。その時の状況に応じて、介護福祉の方にも受けてもらっている。今年度はコロナの関係で研修ができない状況。

(4)区部における住宅扶助の東京都加算を検討

回答)生保は国の制度。都の立場としては、国に対して住宅の現状との乖離が生じていることを実態に合わせたかたちで毎年要望している。住宅扶助は、重点というわけではないが、重い項目として要望している。

(5)TOKYOチャレンジネットの存在が更に知られるような広報の工夫を

回答)広報はHP等を活用。ネットカフェにはチラシやティッシュも配布。以前はマスクも配布。ビジネスホテルで受け入れるとの知事の発言は強烈で大きな反響があった。補正予算が通ればプレスしたい。

(6)住宅喪失している生活保護申請者におけるTOKYOチャレンジネットの一時利用住宅適用の拡大を

回答)4月の補正予算で一時保護利用住宅100から500戸に増やすことになった。プラス400戸の住宅を増やすのに大分時間がかかったが、現状500戸のアパートを(一部都営住宅)確保。マッチングに時間がかかっているのが今の状況。チャレンジネットを利用する人は、一時利用住宅に移って今までの仕事を続ける人、また収入が減って厳しくなった人には生保の適用をお勧めしている。必要に応じて福祉事務所にも同行し、個々の状況に応じて対応している。

(7)閉庁期となる年末年始の住宅喪失者への住居施設提供における周知徹底、及び支援団体との連携を

回答)補正予算案(11/17)金額は5億。予算の積算上は1000室を1ヶ月程度確保。12/21~1/19という期間が示されている。役所が休みの29から3日は確実にどこかのホテルに入れるよう対応するというのが基本対応。どうしても行政側の対応で不足する部分は出てくると思うので、寄り添うことができる支援団体の方と上手く連携していきたい。

(8)住居確保給付金の期間延長を国に求める(進行中のため回答求めず)

 

 

◆だれもが生活保護を

11月30日には政府への要請行動を行った。以下は総務省、国交相、外務省、厚労省、法務省からの回答。

(1)特別定額給付金10万円の支給<総務省>

回答)7/27住民基本台帳に登録されている方、外国人・難民認定に関しては3ヶ月を超える滞在が認められた人、一時庇護・仮滞在者に関して給付対象としている。第2次給付金については決まっていない。

(2)就労可の在留資格の付与を<法務省>

回答)本国への帰国困難が継続、短期滞在等で在留、生活に困窮している外国人の方が存在することは事実。どのような対応が取れるか検討している。

(3)誰もが「屋根がある住まい」を確保できるように<国土交通省>

回答)新型コロナウイルスの関係で住まいに困窮する方々には、公営住宅の空室を提供する目的外使用という仕組みがある。4月早々に地方公共団体へ対応を要請しているが、最初に特定都道府県となった13都道府県は定期的にフォローアップをし、11/12に再通知をした。

(4)誰もが生活保護を受けることができるように<厚生労働省>

回答)生活保護制度は生存権、憲法25条を根拠とするもの。外国人は生活保護法の直接の対象ではないが、行政措置として生活保護法に準じた保護を行っている。現時点では日本人と同様に国内で活動に制限を受けない定住者や永住者といった、在留資格を有する方々を対象として必要な保護を行っている。

(5)すべての難民申請者の生活の保障<外務省>

回答)申請件数は増大傾向。子どもを抱えている方、高齢者、病気の方、そういった緊急性が高いと思われる方については優先して審査を実施するなどの対応を進めている。身寄りがなく、緊急に住居の手当が必要と考えられる方について、住居を見つけるまでの緊急措置として、原則3ヶ月間(延長も可能)を対象に、宿泊施設を貸与していく。

(6)だれもが病院にいけるように<厚生労働省>

回答)無料低額診療事業を難民申請者、すべての無保険者の方を対象に行うことについて、生計困難者を対象とすることという通知をすでに出している。生計困難者の中に無保険者の方も含む。引き続き都道府県等に対して適切な指導を行なっていく。

(7)生活支援制度へのアクセスの保障を<厚生労働省>

回答)生活困窮者自立支援制度については国籍条項を設けているわけではない。自治体で行なっている住居確保給付金、社会福祉協議会で行なっている生活福祉資金の特例貸付は外国籍の方にもご利用いただいている。制度周知も窓口で多言語対応できるよう予算措置を行なっている。国籍等に関わらず、支援が行き届くよう努めたい。

(8)修学援助を、公立学校に通い経済的に困窮しているすべての子どもに適用<文部科学省>

回答)毎年度就学援助の通知の中で、保護者の収入については前年度の収入を見るだけではなく、柔軟な対応をとお願いしている。また、外国の方々に対して、英語、国際公用語等を用いて申請書を作成するなど、毎年度通知で適宜対応をお願いしている。再度周知をしていきたい。

 

◆ 顕在化した差別と格差

4月以降、住民票のない人や外国籍の人への支援が一歩も進んでいない。政府は「生活保護の目的は国内での自立の助長であり、資産、能力他、使えるあらゆる制度を活用した上で、なお困窮している方を保護する」「生活保護は永住ビザ等のない外国籍の人々は適応外であるから生活困窮者自立支援制度を利用せよ」と言う。しかし利用できる給付金は住居確保給付金のみ、しかも、この給付金を利用できるのは、自身で賃貸契約を結んでいることが要件であり、会社名義のアパートや寮、退寮を余儀なくされた人には給付されない。

国策として外国人労働者の受け入れを進めてきた国と企業はコロナ禍でいち早く外国人労働者を解雇し放り出した。働くことを禁じられ、帰国したくてもできない人々に「働くな」「生活は支えない」というこの国。様々な支援団体がカンパを集め、6000万を超える直接の支援をしてきているが、命を救うために困窮者に振り込んだお金が、税金滞納分としてまるまる自治体に差し押さえられ、本人に渡らないケースが多くあるという。カンパが途切れてしまえば見殺しにされてしまう人々が大勢いる。コロナはもともと存在していた差別と格差を顕在化させ、この国のあり方を私たちに問うている。